カワセミという名のギボウシ

ハルシオン(halcyon)というギボウシ(Hosta:ホスタ)がある。
葉は少し青みのある深い緑で、葉が大きくなると表面が粉を吹いたようにシルバーになってくる。
花は淡い紫色で全体的に渋いともいえるし地味ともいえるギボウシだ。
地味さゆえに人気がないかといえばそうでもないらしい。

08ハルシオン01

ハルシオンと聞いて真っ先に思い出したのが睡眠導入剤のハルシオンである。
一時は若者たちの間で「ハルシオン遊び」が流行ったほど有名な薬だ。
植物の名と睡眠薬はどうもマッチしない。
語源が同じところから来ているのかどうかを調べてみたくなった。

そこで得意のネット翻訳。
halcyonで引いてみると「幸福」「カワセミ」「平穏」などが出てくる。
はて、幸福とカワセミにどういう関係があるのか?
そこで我が家にあった「ニューサンライズ英和辞典」を開いてみた。

 halcyon
  [鳥]:カワセミ(冬至のころ海上に浮く巣でひなをかえし魔力で波を鎮めると信じられた)(kingfisher)

ふ~ん、カワセミにそんな魔力があったとは・・・

08ハルシオン02

この名前、元々はギリシャ神話に由来しているらしい。
以下は2004年、日本社会精神医学会雑誌からの引用(孫引き)である。
 おそらく日本一有名な睡眠導入剤。鳥が寝ている図像が使われているのは、「ハルシオン」が英語でカワセミのことだからである(ただし、薬は"Halcion"で、カワセミは"halcyon")。
 さて、それではなぜカワセミが睡眠薬の名になったかといえば、それはギリシア神話に由来する。風神アイオロスの娘ハルキュオネとその夫ケユクスはとても仲むつまじく、お互いを「ゼウスとヘラのようね」と言い合ったため、その傲慢さが神々の怒りを買い、ケユクスは航海中に嵐に遭って死んでしまう(私には、ゼウスとヘラが仲むつまじいとはとても思えないのだが)。しかし、嘆き悲しむハルキュオネの姿にヘラが同情し、二人はカワセミに変えられて再会したのである。鳥になったハルキュオネは海の上に浮かぶ巣を作り、冬至の頃に卵を産んだ。そこで父である風神アイオロスは、ハルキュオネが卵を産む間、海に風を吹かせず凪にするようにした。このことから、冬至前後の天候の穏やかな時期のことを"halcyon days"といい、またそこから転じて平穏で幸福な「古き良き日々」のことを"halcyon days"というのだそうだ。


それにしても、なぜこのギボウシにハルシオンの名がついたのか。
想像するに、どこかの部分がカワセミに似ているという形態的なことではなくて、
このギボウシが持っている雰囲気のようなものが理由にあるように思う。
この青みのある落ち着いた葉色や花のたたずまいが平穏と結びついたのだろうか。

08ハルシオン03

そういえばハルシオン(ハルジオンということもある)というキク科の草がある。
道端や空地などによく生えているタイプの草だ。
こちらは調べてみると、「春紫苑」が漢字名であることがわかった。
「紫苑」シオンという草があってこれが夏の終わりに咲く。
春に咲くこの植物を「ハルシオン」としたことが名前の由来だった。

名前も調べてみるといろんなことがわかっておもしろい。
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コメント

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ハルシオンといえば、やはりまずクスリを思い浮かべますね。
語感としてはクスリよりも花の名にふさわしいような気がしますが。
カワセミから来たとは知りませんでした。
potatoさんの探求心のおかげで、ひとつ面白いことを知りました。
翡翠という石の名はカワセミからでしたよね?
翡がオスで翠がメスだという話をどこかで読んだ記憶があります。

こんばんは

いろいろ語源を調べると楽しいですね。
私は真っ先に英国のハルシオンデイズというエナメルの工芸品を思い浮かべました。
1つ持っていますが、すべらかな光沢に緻密な絵柄が感嘆ものです。
やはりこちらの意味合いも、カワセミに由来し、作品を身近に置くと、心が癒される、という願いをこめてのブランディングだったそうですよ。
ちなみに、うちにあるホスタもハルシオンがあります。あとは、確かアフロディーテだったかな。
西日に当たり過ぎて、ちょっと可哀相な姿になっています。美しく夏を越すと、秋の黄葉も素晴らしいのに・・・
そちらでは、黄葉も楽しめそうですか?

すみごんさん
そうですね、翡翠と書いてヒスイともカワセミとも読みますね。
元来はどちらもカワセミを表す言葉のようです。
翡翠の文字は中国から来たもので、これに日本の呼び名であるカワセミを当て、漢字を音読みしたものがヒスイとなったわけです。
石にこの字を当てたのはその後でカワセミのように美しいというのが理由のようです。

ネムさん
ハルシオンデイズという言葉を検索するとエナメル工芸がたくさん出ますね。
ほかにも漫画のタイトルもありましたし本のタイトルや舞台のタイトルもありました。
それだけこのハルシオンデイズという言葉がポピュラーということなのでしょうね。

ホスタの黄葉はあまり意識してませんでした気にしてみてみますね。
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